光の世界
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辺りが闇に包まれた頃,レイはひとり身支度を整えていた。
ここまでよくしてもらいながら断りも無しに出て行くのはどうかと思ったがそれが一番いいと考えた。
これからどこへ行くかなんて決めていない。ただここにいるわけにはいかない,そう思った。
「…行くか」
窓枠にそっと手をかけた。ドアの外には兵士がいるのでそこか出るわけにはいかない。
「まるで夜逃げだな」
ふっと笑うと窓から外へ飛び降りた。
幸運にも二階だったため簡単に外に降りられた。
しかし急に体を動かしたためまだ完治していない傷口がズキリと痛んだ。
まるでレイの心のように…
振り返って再び城を見る。よくよく見ると大層立派な城だということに今更気づいた。
城に向かって軽く頭を下げると外の塀に向かって歩き始めた。