光の世界
「こんな夜中に散歩か」
突然暗がりから声をかけられ驚いたレイが声のした方を見ると,壁に寄りかかるように立っているディアスの姿があった。
「まさか本当に散歩ってわけじゃないよな」
ディアスは腕組みをしながらレイに近づいてくる。
「…怪我が治ったから出て行く。みんなにお礼を言っておいてほしい」
「そういうのは自分で言え。ここをでて行くあてがあるのか?もう組織とは関係ないんだろ?ならここにいればいい」
予想外のディアスの言葉にレイは動揺を隠せない。
まさかここにいてもいい言われるなんて思ってもみなかった。
「でも…」
レイは口ごもる。しかしディアスはレイが話すのを待つかのようにじっとレイを見つめている。
「…私がここにいたらみんなに迷惑がかかる。おそらく組織は私を殺しにくる。
…それに…」
「…それに私は異世界の人間だから…。私の側にいるとみんな不幸になる」
消え入りそうな声でレイが精一杯の言葉を口にした。