光の世界
声をかけてきたのはディアスだった。
レイが振り向けずに黙っていると,ディアスがレイの肩に手をかけ無理矢理こちらを向かせた。
その時ディアスは見た。レイの目から溢れる涙を。
「お前…」
「離して!!」
ディアスの言葉を遮るようにレイは言った。そしてすぐさまディアスに背を向けた。
そんなレイを,ディアスはたまらず抱きしめていた。
ふたりの間でしばらく時が止まった。
先に我に返ったのはレイだった。
「…っ離してよッ!!」
そう言ってディアスの身体を突き飛ばすと,その場から走り去ってしまった。
そんなレイの後ろ姿を見ながら,ディアスはなぜ自分があんな事をしたのか考えた。
――ただ放っておけなかったんだ。
目の前で泣く君を見て,放っておけなかった…
そんなふたりの様子を,エナが見ていたとも知らずに……