光の世界
「熱いッ」
食堂にエナの声が響く。もともとディアスとリリーナ,ロイ,クライブ,ティファそしてレイは城の中で高い位を与えられていたので,食堂で一緒に食事をする事が時折あった。
エナが戻ってきてからは,エナも含めこのメンバーで食事をする事が極端に増えたのだ。
「ちょっとぉ。このスープ熱すぎるわ」
エナが持っていたスプーンを乱暴に机に置きながら言うと,周りにいた女たちが「申し訳ありません」と口にしながら水を運んできた。
「ちょっとエナ!!それぐらい我慢しなさいよ」
ティファが眉を寄せながらエナに苦言する。
「熱いものは熱いのよ!!こんな物を出す方が悪いわ」
エナは運ばれた水を飲みながらティファに言い返す。
「あのねぇ…」
ティファとエナの言い合いが始まりそうになると,付き合っていられないと言うような顔でディアスが立ち上がる。
同時にロイとクライブも席を立ち,そそくさと食堂を後にした。
あのエナの歓迎パーティーの日以来,前より一層ディアスの事を意識するようになっていた。
そのためディアスが席を立ち部屋を後にするその姿を,無意識のうちに目で追ってしまっていた。
そんなレイの様子をエナは見逃さなかった。