光の世界
「大丈夫ですかレイ様!!」
周りで見ていた手伝いの女達が,慌ててフキンを持ってくる。
あまりの事にレイも言葉がでてこなかった。
「レイッ!!大丈夫だった?」
ティファが慌ててレイの側に駆け寄ると,びしょ濡れのレイの髪の毛を拭いた。
リリーナも慌ててレイに駆け寄る。
「レイ,ごめんなさいね。エナは前はあんな感じじゃなかったの…もっと思いやりがあって,とてもいい子だったのに…
今はディアスに対する思いが強すぎるのね…」
「いや…私もいい過ぎだったから」
そう言うとレイはリリーナに笑顔を向けた。
そんな様子を,その場にいる人間はじっと見ていた。
先ほどのエナの発言からレイがディアスに思いを寄せていると言うことはその場にいた誰もが想像できた。
しかしあのエナの言いようを聞きレイの事を思うと,レイのその笑顔が気の毒でならなかった。
「レイ様だったらいいのに…」
世話役の女のひとりが,ポツリとそんな事を言ったのだった。