光の世界


城の廊下を,エナが凄まじい剣幕で歩いていた。



『何をそんなに怖がってるんです?』



レイのあの言葉を思い出すたびに怒りがこみ上げた。



最近,ディアスはエナに冷たかった。



冷たいといっても,恋人という事を否定された訳ではないし,もちろんそういった行いが無い訳ではない。



しかしあの日以来,レイとディアスが抱き合っているのを見て以来エナは不安で仕方がなかった。



ディアスの気持ちがレイに向いているのではないか,と…。



「冗談じゃないわッ!!」



ディアスは絶対に渡さない,そんな強い思いを抱きながら,高ぶった感情を抑えるためエナは中庭にでた。



ベンチに腰掛けながら花壇に生えている花をボーっと眺めた。



「あなたがエナさんですね?」



突然声をかけられ,驚いたエナはとっさに声のした方向に目を向けた。



そこに立っていたのは長い金の髪をなびかせた美しい女性。


「あなた…誰?」



見知らぬ人物にエナはあからさまに疑いの目を向けた。



「あなたにいい事を教えてあげましょう。あのレイという人物について…」


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