光の世界
その日の夜。サレス城は襲撃をうけ多数の死傷者がでた。
ちょうどディアス達が会議の時間帯で,かつもっとも警備が手薄な裏門からの襲撃に被害は大きかった。
「なんて事だ…」
多くの被害者を前にディアスは頭を抱えた。
報告を聞いて駆けつけたレイは,怪我人や亡くなった人物の傷跡を見てすぐに見覚えがある者の仕業だと気づいた。
「ここまで盲点をつかれるなんて…」
リリーナもあまりのでき事に言葉を失う。
しかし,同時に多くの人間が感じた。内部に内通者がいるということを。
そうなれば,自然と疑わざるを得ない人物がいるということを。
そんな時だった。そんな皆の気持ちを代弁するかのように,エナが凛とした声で言った。
「あなたが情報を流したんじゃないの?」
エナの目はひとりの人物に向けられていた。
勝ち誇ったように怪しく輝くエナの瞳がレイの姿を映す。
その場にいた全員の視線がレイに向けられた。
「わたし…?」
「彼女を捕らえなさいッ!!」
エナの一言で,その場にいた兵士がレイを羽交い締めにした。
それを止める者は誰もおらず,レイもまた抵抗しなかった。
―――外は雨が降っていた。