光の世界
「俺ね,一回でいいから君と戦いたかったなぁって思ってるんだよね。
まぁ,今更そんな事言ってもしょうがないんだけど」
ジェラスはスタスタとレイに近づいてくると少年のような笑顔を向けた。
「逃がしてあげようか?」
あまりに突然のジェラスの言葉にレイは息を呑んだ。
ジェラスはというと,レイの視線に合わせるようにかがんだまま相変わらずの笑顔を向けている。
何を考えているのか…ジェラスにとって自分を逃がして何のメリットがあるのか…
静まり返った独房の中で,レイは必死に思考を巡らせていた。
と,突然レイの頭に大きな手が降りてきた。
「う・そ」
いたずらっぽい笑顔で笑うとジェラスはすっと立ち上がり扉の方へ向かって歩き出した。
「そんな顔もするんだなぁ。最後にいいもの見れたよ。
じゃあね」
背中越しにヒラヒラと手をふると,何事もなかったかのようジェラスは去って行った。