光の世界
――――――
ピンと張り詰めた何とも言えない空気が廊下一帯を覆っていた。
「なぜそこまで彼女にこだわるのですか?」
シーラに投げ掛けられた疑問に,ディアスは静かに口を開いた…
レイに対する淡い思い…その思いをうまく友への思いとして,ディアスはシーラへ語った。
ディアスの話を,シーラはただまっすぐに彼を見つめながら聞いていた。
レイを救いたい,闇の中から助け出したいという思いを,ディアスはシーラに語り続けた。
ふっとシーラが微笑んだ…かと思うと,ディアスに向かって風のように突進してきた。
キーンッ!!
とっさに受け止めたが,休む間もなくディアス目掛けて鋭い剣が次々と降ってくる。
「くっ…」
あまりのシーラの迫力にディアスは思わず眉を寄せた。
次がくる,そうディアスが構えたが予想していた衝撃はなく,ディアスはゆっくり目の前のシーラへと目を向けた。
「…なんですね…」
「え?」
「あなたのそういう所が,彼女を変えたのですね」
そういうと,シーラは優しく微笑んだ。そして一瞬剣を抜いて空を切ったかと思うと,ガラガラと音をたてて天井が崩れ落ちたのだ。
立ち上る土埃と崩れ落ちる天井による騒音と視界の悪さの中,シーラの声だけがディアスの耳に響く。
「あなたのその言葉と気持ちがどれだけ本気か,私に見せてください」
その言葉だけを残し,シーラの気配は消えていった…