夏と風鈴
「いらっしゃいませ」
酒のはいってるアタシは 気分上々だ
極上の笑顔と極上のサービス
仕事を始めて3時間ほどした頃だった
手がガクガク震え出した
ヤバい
酒がきれた
トイレにすぐ駆け込む ポケットの中に忍ばせおいたウィスキーの小瓶を開け いっきに飲み干す
ここ一ヵ月 酒がきれると 手が震え出すのだ
「大丈夫?」
男も女も一緒に使える小さなトイレに 彼は入って来た
鍵を掛けずにいたアタシもバカだが 何も考えずに入ってくる 彼はもっとバカだ
彼は アタシよりよっつ上の二十三歳だ
先週入ってきたばかりで どこかヌけている
「う。」
アタシは そのまま倒れた