夏と風鈴
ふたり



次の日
虎次郎の心配をよそにアタシは退院した


虎次郎は 家まで送って行くと嫌がるアタシをよそに ついてきた

知り合いを あのボロアパートに連れて行くのは初めてだった
アタシはこれでもいちお女だ 普段 無感情なアタシでも この時は恥ずかしいという気持ちを持ち合わせていた



アパートに帰ると玄関の前に 男が立っていた

男はアタシ達を見ると
「今日は3P?」
と言った





「二度とここに来るな!! もし、その面見せたら未成年へのワイセツ行為で警察に電話するからな!!」

普段 優しい口調の虎次郎が 声を荒げて言った


アタシは 虎次郎にこんな思いをさせるんだ。これからずっと…


「ごめん」

「何も謝る事はない ここには住ませられない」


アタシ達は 早々と引越しの準備をする事にした


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