執行猶予3年


「I Love you...」


愛の告白。
俺そんなカミングアウトいらない。
俺そんなの求めてない。

「1度だけでいいカラ。」

え…?
気づいた時には、
唇に柔らかい感触。
目の前には彼女の顔。


…俺廃人。
彼女から解放され、
エレベーターの扉が閉まる間際、
見た彼女の顔を、
諦めを知らない顔。

俺は魂を吸い取られ、
放心。
家に帰る途中、
除夜の鐘を聞いた。

なんとも言えない気持ちを抱えたまま、
新年を迎えた。


それから、
彼女が病院を辞めるまでの3か月。
俺は連日、
写メに悩まされる。
写メールと考えた奴を、
ボコボコニしたかったくらい。
毎日愛の言葉と、
バラをバックにした彼女の写真時が送られてきた。
軽くノイローゼだった。

まあ、
そんなわけで、
本当の事はいえず、
いろいろ端折って嘘ついちまったわけですよ。
誰かに聞いて欲しかったけれど、
ばれたくはなかった。


そんなこんなで、
東京での初めての年越し。
布団に入って、
ふと思う。
去年の今頃は、
寿司食って、
オカンの作った年越しそば食って、
親父とチャンネル争いして、
部屋でまったり、
除夜の鐘を聞いて。
そんなことを思ってしまうと、
少し寂しかったりもした。

まあ、
そんなものはすぐに忘れるのだが。








< 105 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop