執行猶予3年
何があったわけじゃない。
ただ毎回ライブを見に行っていただけ。
大好きな彼氏が目の前で、
やっと念願かなってステージに立っている。
でも自分の存在は内緒。
つながりを知られてはいけない。
麺たちの周りには女の子。
純粋ファンに加え、
前述したような子が混ざってる。
ファンからのメール。
知らない子が自分の彼氏とメールしてるけど、
ソレはファン。
自分は陰で支えるんだ。
ソレは覚悟していたと思う。
でもいざ、
その場面に直面すると、
以外に自分が耐えきれない事に気づく。
それでも葛藤を繰り返して耐えてた。
わだかまってわだかまって、
ついに崩壊したのが、
5月の末あたり。
早いように思えるけど、
ひと月も悩んでみれば分かる。
誰だって耐えられない。
よく頑張った方だ。
ライブの後。
洋ちゃんと、
その弟と鶴と俺で飲んでいた時だ。
隣にいる鶴の様子がおかしい。
俺は、
鶴を外に連れだした。
「鶴の事よろしく。
ごめん。」
洋ちゃんにそう託された。
如何わしい店が立ち並ぶ、
路地裏の駐車場。
ソコに腰を下ろし、
鶴は泣いていた。
黙って見てるだけしかない、
それが辛いのか。
決意した自分の心の揺れが悔しいのか。
ソレは本人しか分からないけど、
涙があふれたのだと思う。
俺はその時何を言ったのかは覚えてない。
記憶はあいまいだけど、
感情は覚えてる。
健気な鶴が、
可哀そうで、
でも仕方なくって、
複雑だった。
お互いに頑張りどきだった。
いや、
二人とも頑張ってたけど。
何かが違い始めた。
何なのかは、
俺には分からない。
でも、
今までとは、
変わり始めたんだ。