執行猶予3年
「何があったのさ。」
病院に行くと仲良しトリオがいた。
ナゴミちゃんに、
坂江さんに、浅田さん。
マルでテレビでも見終わったかのように、
座ってた。
「なんかね、
下の階行って、
帰ってきたら泣いてて、
何したのって聞いても言わなくて、
山田に触られたって。
部長呼んで返しちゃったよ。」
はぁ。
山田って、
あの糖尿病のか?
病気なんて名前ばっかりで、
生活保護受給されたいがために、
入院してるようなものだ。
「今すぐ退院じゃ。」
「でも、
部長は明日朝一番で退院ですって。」
あのくそ豚。
「松永。
夜勤やっていきなよ。」
「ああ?」
「やっていきなよ~。」
「分かった。」
それからしばらくして、
俺は民家に電話した。
「おお、
俺だけど。
今お前の代わりに、
夜勤やっるはめになってるんやけど。
お前大丈夫か?」
『まっつん…。
どうして?』
「まあ、
流れで。
お前、山田に何された。」
ソレは聞くのもおぞましかった。
18時ころ。
検温しに1階に行った。
一階はみんなカーテンを閉め切っているため、
一番奥の山田のベッドは、
みんなから死角になる。
そこで事件は起こった。
山田は、
民家をはずかしめようとした。
未遂に終わったのだけれども、
民家は大きい方ではない。
その民家を、
山田は羽交い絞めにして、
自分のベッドに押し倒し、
ソコかしこをまさぐり、
舌でなめまわし、
口びるを奪った。
女にとって、
これ以上にない屈辱。
寸での処で、
民家は逃げだせた。
声もあげられず、
50代の男に、
触られる辱め。
腸煮えくりかえった。
「お前。
明日病院に来い。」
『…うん。』
俺も経験がある。
声なんか出せない。
抵抗なんかできない。
あの恐怖。
殺されるよりもつらい屈辱。
「あら、
松永君。
やきんだっけ?」
「その事で、
師長話があります。」