執行猶予3年


「鼻血でてるやんか。
弱いんやから、
喧嘩すんなよ。」

そう言って、
袖で鼻血をぬぐってくれた。
俺は、
照れて、
ちょっと恥ずかしかった。


「弱くねえ。
こいつは強いわよ。」

レディスのねぇさんがたが称賛してた。

体重もあったので、
力じゃ負ける気がしなかった。
学校じゃ、
校則を一切破らないおとなしい子。
家に帰ったら、
返信するような、
俺。

開放感。


全てが楽しくってたまらない。



「ほら。
お前のメット。
早く乗れよ。」

「おう。」


前に、
ノーヘル2ケツで捕まって、
ポリスメンにこっぴどく怒られて、
罰金食らってから、
ヘルメットをかぶりだした。

この間、
メットがダサいと言っていたら、
八巻が、
友達に頼んで、
メットに髑髏を入れてくれた。
格好良かったので俺は大満足で其れを受け取った。

「何処行くねん!!?」

バイクの走行中は、
話しなんて出来ないけど、
むりくり、
耳に口を近づけて、
聞いてみた。

「海ー!!
花火ーー!!」

でかい声で単語が返ってきた。
花火か。


この頃になると、
憧れが好きに代わってた。
まあ、
憧れの延長。

大好きな八巻のバイクの後ろに乗る。
其れが何より優越だった。

17歳。

ただなんてことない初夏だった。
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