執行猶予3年
その日。

いつもの浜辺で、
花火をしていた。

打ち上げ花火や、
ロケット。
派手好きには楽しい。


「はいお前負け。」


人数がそろってくると、
いつものようにじゃんけん。

これは暗黙の了解で、
みんな負けまいと必死になる。
この本気度と言ったら、
半端じゃない。

なぜなら、
負けたらこうなる。



「ハイ。
辰治くん負け~。
3・2・・・・。」

「待て待て!!」

突然辰治は、
一人ダッシュ。

みんなは、
缶やに瓶刺した、
ロケット花火に点火。


「1…発射!!」

一斉に、
逃げる辰治めがけ、
ロケット花火を発射する。
じゃんけんに負けた奴はこうして餌食になるのだ。

「いってえぇぇ!!
ケツ!!ケツにあたった!」

「あははっは。
遅かったな。」

酒飲んで、
笑って、
遊んで。
下らない事で楽しい日々。


「お、稲田。
何してんの?」

少し離れた所に、
高校生の稲田がいた。
少しいかれた奴で、
あんまり話したこともなかった。


「なに?
お前もやる?」

差し出されたのは、
タバコみたいな筒状のものだった。

「え~?
俺はたばこ吸わないよ。」

「煙草より、
体にいいよ。」


「稲田!!
てめえ。」

そうして話してると、
八巻がすごい形相で寄ってきた。
びっくりするぐらいの剣幕に、
俺は少し引いてしまった。

「どうしたのさ?
八巻?」

「お前は向こう行ってろ。」


俺は反論もできないまま、
その場を離れた。


「ひーちゃん。どったの?」

「嫌向こうで…。八巻と、
稲田が…。」



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