執行猶予3年


玄関のドアノブに手をかけた。

ガチャリと鈍い、
金属音。

玄関のかぎが掛かっていた。

「一愛合鍵。」


何の気なしに、
合鍵で、
鍵を開けた。
どうしてそこまで、
したかは分からない。


違和感とは、
得体の知れないもの。
得体のしてないもというのは、
恐怖の対象でしかない。


すると、
またあかない。
正確には少しあいた。
チェーンロックだ。

八巻は、
鍵もかけない奴だったけど、
なんで今日に限って、
ロックが掛かってるの?

簡単に開けよ。
なんだよてめえら勝手に怒れよ。

いるんだろ。
バイクあるもん。

覗きこんだ金井が、
隙間に手を突っ込んで、
チェーンロックをこじ開け始めた。

「何やってんのさ。」

「チェーンロック掛かってるってことは、
中にいるんだろ!
おい!!
八巻!!
いるんだろ!これ開けろよ。」

その異様な雰囲気に、
俺らは飲まれてた。

いつもなら取らない行動をしてる。


しばらく格闘してたら、
チェーロックがあいた。
旧式のチェーンロックだったから、
壊れたのかもしれない。
でも、俺らは確認するに間もなかった。

勢いよくドアを開けて、
土足で中に入った。

もう、
正常に機能してない脳みそ。


だって、
目の前に八巻が座ってるんだもん。

俺らが入ってきたのに、
動きもせずに座ってる。

俺はそれ以上近づきたくなかった。
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