執行猶予3年
それから2ヵ月間。
鶴との二人暮らしが始まった。
バランスは失われた関係。
そのバランスは一本の柱で、
逆ピラミッドを支えてるような感じ。
指で押せば倒れてしまう。
そう、
俺たちは致命傷を負ってた。
俺の目にはフィルターが掛かってしまって、
鶴が鶴に見えなくて。
ここからは、
俺の醜さを露出した、
鶴との話。
そうこのころから、
ある考えが、
頭にちらほら浮かんでいた。
なぜなら、
俺に残された執行猶予は1年余り。
俺は、
帰りたくなかった。
でも、
ここにも居ることも出来なくなってきた。
この世界はなんて、
生きにくいんだろ。
俺には狭すぎる。
人間が人間であるがゆえに、
こんなに狭い世界を作り出してる。
それなら人間をやめてしまえばいい。
人間であるからこそ。
生きてる価値を見いだせないのだ。
何のために生まれたとか、
何で生きてるとか、
何のために。
そんなものは生きてるおまけで在って、
生きてるそのものには関係ない。
なんて面倒な生き物だろうか。
人間とは。
そう、
答えを欲して、
本を読み漁った。
でも、
謎を深めてくれるばかりで、
本質からは遠ざかった。