執行猶予3年


同じ時に、
洋ちゃんも病院を辞めた。

奴は「バンドやるんで!」と、
円満に辞めたらしい。
そして、
仕事が決まったらしい。
マンションの清掃業。

鶴の方は、未だに…。

俺は、
探すしかなかった。
とりあえずこの、
日給1万円の、
事務所がここから近い、
警備員のバイト。

職種はいっぱいあったけど、
自給800円のコンビニとか、
本屋じゃ、
生活できない。

そして何より、日払い。
別におっさんにまみれようが、
どうでもいい。

とりあえず面接に行った。
面接官が、
笑える。
面白い顔した、
お笑いの芸人にそっくりだ。

「いつから働ける?」

面接じゃなかった。
もう、働けるらしい。
明日から、
3日間研修の予定。
研修中も給料が出る。

が、甘くはなかった。
翌日、
事務所に行って、
警備服を着ようとしたら、
男しかいない。
最悪だ。
男の恰好してても、
着替えを見られるのはちょっと。

トイレで着替えて出てきた。

そして、
何か契約書みたいな、
プリントを渡された。

「これ保険料ね。
後物品代。
明日徴収しますから持ってきて。」

内容は分かったが、
金額がおかしい。
保険料10万円。
物品も安全靴だけで、
他は貸出なのに、
5万って?
しめて、
確か15万くらいだったような気がする。

俺金ないのに、
こんなに払えないよ。

< 31 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop