執行猶予3年
「なぁ、
こんな時になんだけど、
飯いかね?」

「あ?」

「いや、昼飯食い損ねたし。」

「いいよ。」


でも着替えさせてくれ。
二人して大きなバッグに入ってた服に、
トイレで着替えて、
外に出た。

普通の居酒屋に入って、
飯食って、
話した。

原はいい奴だ。

「今日、昼間職長言ってたんだよ。」

「なんを?」

嫌なこと思い出させてくれるぜ。

「”あの女、俺に気があるぜ”
ずっとだよ。
まいるぜ。」

「勘違いもいいとこだぜ。
ほんと。
金積まれても断るわ!」

「だよな。
勘違いもいいとこだ。」

RRRR…

携帯が鳴った。
阪野さんだ。

「もしもし?」

『もしもし。
今な、エリア職長来てるんだ。
で、職長締め上げてるんだが・・・、
エリアに代わるから…。』

エリア職長って…、
まさか。

『もしも~し。
安田だ。
松永君か?』

「はい!!」

やべえ。
安さんだ。
入れ墨は言って、
めっちゃ怖そうな人。
一度だけ挨拶したことある。
こわ。

『今な、山田締め上げてるんだが、
鳴いて俺に土下座してんのよ。』

何したんだ?

『じかに土下座させる?』

「そんな…。
めっそうもない。」

むしろ逢いたくない。

『だろ~。
逢いたくなよな。
もうこの職場に当てないから、
安全な職場に回すから。
俺に免じて勘弁しちゃくれねえか?』

「大丈夫です。
そんな、安田さん。
安田さんが謝らないで下さい。」

『代わりと言っちゃなんだが、
こいつどうして欲しい?』

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