執行猶予3年
「えぇ~~!嘘でしょ!!
鶴ちゃん此処の場所、
いまいち分かってないよ!」

「俺さ、迎えに行ってくるから。」

「え!間に合わないよ。」

「大丈夫。チャリ飛ばせば。」

病院の会議室を飛び出した。
携帯取り出して、
もう一度鶴に電話をかける。
チャリ置き場につくまでの間、
コールし続けた。

コール音が消え、
通話の状態に。


「鶴!!
お前、何やってんだよ!」

『今起きた…。
どうしよう。まっちゃーん!』

「化粧なんかどうでもいいから!
とりあえずスーツ着て出て来い!!
今向うから!!」

『うん!!』


やっぱり。
この馬鹿たれ。

引っ越してきて一週間もしないこの街。
全く土地勘のない俺。
2回行ったことのある、
鶴の部屋までの道を思い出し、
自転車をこいだ。

少し走ったところで気づいた。


「やべ!!
逆方向来ちまった。」

そ。
俺、類稀なる方向音痴。

慌てて戻る。

「まっちゃ~ん!!」

「鶴~~!!」

半べそすっぴんの鶴を発見。


「お前何してんだよ!
いいから乗れ!」

「ほんとごめん。」

「あとで聞く。」

後ろに鶴を乗っけて、
全力で立ちこぎ。
せっかくのスーツも汗ばんでた。


「だ―――っ!!
後3分だ!!」

エレベータ上って…。
もう、息も切れ切れに、
入社式の始まる会議室へ急いだ。

履きなれないパンプスに手こずる鶴の手を引っ張って走った。
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