執行猶予3年
駅沿いを走っていたのか、
ネオンライトが眩しいほど。
あぁ、
ほんとにテレビで見た通りの街並みだ。
ある駅の前で止まった。
「あぁ、ここだ。
どうもありがとうね。」
ぺこりと会釈して、
じいちゃんが降りて行ったから、
俺も降りようとして、
ドアへ移った。
「君、この先の方だろ。
乗っけて行ってあげるよ。」
そう言われ、
腕をつかまれた。
「おぉ、その方がいい。
暗くて危ないから。
乗っけてもらうといいよ。」
「ね?
危ないからさ。
なんなら、家まで乗っけて行ってやるよ。」
その表情から、
邪悪な願望が読み取れなかった俺は、
「いいの?」
何と愚かなんでしょう。
アホの極みです。
それから笑顔で爺ちゃんに手を振って、
そこを後にした。
それから、
話しかけられ、
昼間の仕事の話で盛り上がって帰った。
悪そうには見えなかった。
俺も話に夢中で、
気付かなかった。
周りが暗くなってることに。
「あれ…。」
気づいた時には遅かったってやつで。
もう焦ってもしょうがないんだよねこれが。
「ここどこよ?」
「あ、駅に向かう近道。
気にしないで。
こっちの方が近いから。」
「そっ。それよりさ。
楽しいことしようよ…。」
「あ?」