執行猶予3年
「師長。
院長辞めちゃうんすか?」
「ん~…。」
苦い顔をして、
濁す師長。
その顔を見て、
分かった。
ホントに辞めちゃうんだ。
どうすんだよ。
院長以外の先生、
影薄すぎて知らんくらいのこの病院。
「それより松永君。
これ、」
「何これ?」
「うちの忘年会の日取り。」
忘年会?
「えぇぇ!
行きたくないよ。」
「新入社員は絶対行くんだよ。
諦めていっといで。」
椛田さんに言われた。
けらけら笑って楽しそう。
「んなこと言ったって、
椛田さんも行くんだしょ?」
「あたし?
あたしは行かないわよ!
残念ながらその日大事な用事があってね~。」
「ずりぃ…。」
「碧(ヘキ)さんは?」
台湾出身の常勤看護師さん。
いつまでたっても、
日本語へた。
年齢は、初老。
こんなかわいい初老はおらん。
「行く訳ないじゃん。
忘年会の日は、
碧さんと夜勤争いだよ。」
「みんなずりぃ…。」
俺、忘年会とか、
嫌いなんだよね。
前の病院の時の歓迎会とか、
めっちゃ嫌だった。
行きたくねえな。