執行猶予3年


悲しいな。

死んだ患者は生活保護だった。

どんな人生を歩んできたのかも知らない。
でも、
最後だれも見取ってくれない。
おそらくあの骨壷は、
奥さんと子供のものだと思う。

家族を亡くして、
独りで生きてきたのか?
それでも、
亡くなっても、
誰一人駆けつけてはくれない。

何と虚しい人生なのだろう。

この人も、
誰かに祝福されて生まれた人の子なのに。
寂しい人生だな。




「大丈夫か?」

椛田さんに声掛けられた。
やべっ。
おっこられるぅ…。


「まあ、
しゃぁんめな。
急変でやることは、
決まってるから覚えろよ。」



「…はい。」

あれ。
怒られんかった。


「あー。
急変時の記録は取ってたか?」

「何それ?」

「記録ぐらいしとけ。」

「えへ。」

「えへ。じゃねえこの。」


急変時の記録の手ほどきを受けた。
使ったアンプルとかは一か所に、
保存しあとから見直すとか。

まあ、
今まで手ほどき受けたことなかったから。
よかったよ。


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