執行猶予3年


「痛い!!」

「あ…。」

巻いた駆血帯を外すのを忘れた。
せき止められた血管に、
点滴を流したら、
そりゃ漏れるわ。
そして痛い。


「私がやろうか?」

俺らより、
やばい宮田先生が立ちあがった。
鶴の顔色は、
もう一気に張りつめて切れた。

「もう、触らないで~!!
何もしないで!!!
お家帰る!!!」


まあ、
結局、椛田さんが点滴を入れてくれた気がする。
そして、
1時間くらい点滴に拘束される鶴。


「ほらゲロ袋。」

「おむつするか?」

いやがらせのような、
介護を受ける鶴。

あれほど外来で大騒ぎした患者は、
俺たちくらいだろうか…。


その日はそのまま帰った。



翌日、
鶴は39℃以上の熱を出し、
もちろん他の病院の外来にかかった。
その翌日には軽快したらしい。

うちの病院がトラウマになった。





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