I’m home

立ち上がって現場を見たら、
残されていたのは被害者だけ。

芝生に横たわって、
動かなかった。

少し近寄ってみた。


「ねぇ、大丈夫?」

我ながら間抜けな質問だった。
レイプされて、
平気な人間が何処にいるだろう?

もう少し近づくと、
服で縛られ、
口に何か入ってて、
何もできない事が分かった。


このままほっといたら、
他の誰かに発見されて、
気の毒な目にあうと思う。

とりあえず、
戒めを全部取ってやった。


「…驚かして、
悪かったな…。」

のろのろ起き上り、
服を着ながら男の人は言った。
近くで見れば、
顔には赤く腫れたところがあって、
痛めつけられたことが分かった。


「マジ、びっくりだよ。
男がレイプ…。」

はっとして口をつぐんだ。
傷ついてる相手を、
余計傷つけるようなこと言って、
どうしたいんだろう。


「悪かった…。」

立ち上がろうとしてるようだけど、
腰が抜けてるらしく、
立ち上がれないで、
座り込んでしまった。

なんだか、
ほっとけなくなってしまった俺。





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