I’m home
「ここ?」
「ここ。」
男は、
超リッチマンだった。
俺んちからほど近い場所にある、
マンション。
もう外観からして高そう。
びっくりしつつ、
男をおろした。
「ちょっと大丈夫?!」
おろした瞬間腰が抜けそうになる体を、
支え直して、
ロックを開けさせる。
何してる人だこの人?
超金持ちじゃん。
最上階に近いような階に、
彼の家はあった。
支えてる方が、
きついので、
また強制おんぶして、
玄関まで。
今度は、
鍵を受け取って、
ロックを外した。
玄関でおろしても、
同じこと。
「上がるよ?」
返答がなかったので了解と受け取った。
背負ったまま靴は脱がせにくい。
適当に、
ひっかけて、
その辺に放ってしまった。
シンプルに物が置いてないせいか、
中は余計に広く感じた。
「はい到着…。」
「悪かったな。」
ソファに到着。
はぁ、俺の任務完了。
「コーヒーでも…。
ジュースのがいいか?」
「別にいいよ。
それより休んだらいいよ。」
「ここまで送ってくれたんやし、
そのまま返せへんし。」
どうしようかちょっと悩んだけれど、
家にちょうど帰りたくはなかったし。
丁度いいや。
そのくらいしか思わなかった。
こうして俺は、
名前も知らない人の家に、
腰をおろした。