I’m home
Ⅱ.友達
「おはようさん」
「おはよ…。
また色抜いたでしょ!
またムッチーに怒られるよ!
っていうか、
翔くん補修必要ないじゃん!」
「またまたうっさいねん!
暇やねん!!
えぇ色やろ。」
この関西弁の金髪は、
高校一年から友達の西村翔くん。
金髪どころか、
耳に口に眉に眉間にピアスだらけ。
制服は着崩されて、
缶バッチやらなんやら、
くっついてるし。
だけどちっちゃい。
実は160cm。
生活指導の筋肉ムキムキのムッチー竹山と、
毎回格闘してる。
こんなのが野放しになってるのは、
翔くんが、
半端じゃない天才だから。
全国模試で、
よくトップ5に入ってる。
彼女と喧嘩したって言っては、
暇を持て余して、
補修に出てくる。
俺に脳みそ分けて、
赤点地獄から救ってくんないかな。
「敏弥。もう一個赤点追加やで。
そろそろ、
留年の危機なんちゃう?」
こっちも関西弁。
慎吾。
セミロングの茶髪で、
顔がきれいだから女に間違われ、
よく痴漢にあう。
無口なくせに毒舌。
「ホントどうしよ…。」
「どうしようもないやんけ。
アホはもう治らんやろ。」
「ひでぇ!!
慎吾だって休み過ぎて、
単位やばいんだろ!!」
すげぇ仲のいい友達は、
この二人しかいないけど、
学校が好き。
唯一あの家から、
解放される場所。
でも時間は、
迫ってくる。