NO TITLE



あいつはついに私の前に現れた。




「久しぶり、綺羅」




スーツ姿で玄関の前に立っている。




「あなたには用がないです。帰ってください」




家に入ってしまえば逃げられるのに、玄関の前に立っているので逃げられない。




「ちょっと話しようよ」




「話す事なんてなにもない」




ぴしゃりと言うと今度はジッと私を見つめてきた。




と、鳥肌…




あいつが口を開く、私は刺されたような衝撃を受けた。




「永浜悠の事、好きになれないくせに。俺は知ってるよ、なんでも」
< 130 / 144 >

この作品をシェア

pagetop