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ケータイに残る、悠との記録。



メール、着信履歴。




最初は無いに等しかったメールや電話も、お互いの過去を知る度に増えていった。




決して多いものではないけど、確かにあった私と悠が繋がっていた記録。





ふと、泪が零れ落ちた。




「なに…泣いてんの、私…」




数々の想いでがよみがえってくる。




帰りさりげなく手を繋いだこと、キスしたこと、屋上でさぼったこと、鍋パーティー…




悠の大きな手は私を安心させてくれた。




優しい笑顔は凍った心をゆっくり溶かしてくれるようだった。



悠の体温と重なるときが一番幸せだった。




汚れてる私の身体を、優しくあつかってくれた。
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