NO TITLE


次の日、あたしは中村の授業中に手を挙げた。



「中村先生。ここちょっと解んないんですけど…」



「ん?」



あたしはノートのすみに、


綺羅に手を出すな


ってかいた。



「どこですか?」


「ここなんですけど…」



ノートに書かれた文字をみた中村は、顔色一つ変えず、ノートに書き足した。


放課後、職員室



見事な演技力。



クラスの生徒はみんな騙されただろう。


ただの普通の先生と生徒の会話だとしか想ってない。



「麻那が数学解んないなんて、珍しいね。」


「ちょっとね。」



綺羅は珍しそうにあたしを見てた。
< 45 / 144 >

この作品をシェア

pagetop