NO TITLE


「今日って本当は、陸と友達をくっつけようとしたんだろ?」


「友達じゃなくて、鈴本麻那。まぁ、くっつけるというか、話すキッカケを作ったの」


「それはありがたいな」



ありがたいってなに?



浅木は永浜悠のなに?



私は気持ちのまま、質問をぶつけた。



「驚いた。綺羅が他人に興味を持つなんて」


「私は想ってても口にしないだけ」


「俺自身のことも、聞かないのにな」



一瞬、時が止まったような沈黙。



永浜悠はただいつも通りに前を向いて歩いている。




『俺自身のことも、聞かないのにな』


ただその言葉が頭の中でグルグル回ってる。



聞かれたかったの?



人は誰でも聞かれなくないモノを持ってるのに?
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