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聞いて欲しいなら、自分から話せば良い。



聞かれたくないことを聞かれて、困るのは自分なんだから。



「悠だって、聞かないじゃん?私のこと」



「聞きたい。好きだから綺羅のこと知りたいと想うし」



「好き…だと知りたいの?」



「そうだよ。好きだから知りたいし、知って欲しいと想う。楽しいことは一緒に笑えばいい。辛いことは一緒に泣けばいい。辛いことを一人でしまい込んでいたら、ずっと辛いままだよ」


私は言葉を失った。


「だから綺羅が話してくれたときは嬉しかった。苦しさを二人で半分こしたかった」



私の目からは暖かいものが流れてきて、そっと頬をぬらした。


好きってよく解んないけど、なんだか暖かいモノ。






寒くて寒くて真冬だった私の心に、暖かい春の風が吹いてきた。
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