大樹
序章
少年は走る

森の中を走る

脇目もふらず恐ろしいものに追われるかのように…

少年はつぶやく

「なぜなの?

僕は…パパもママも大好きなのに。

パパもママも僕が嫌いなんだ。

麻衣ばっかり可愛がるんだ…

僕を見て!

僕を褒めて!

…僕を助けて…」

暗く深い森の中に少年の声が響く

人には届かない声

ただ森だけが聞いていた。
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