大樹
このキャンプ場から出ていった様子はない。

山深い場所でもないので探せるところはすべて探したが二人の姿はどこにもなかった。

「そのうち戻ってくるだろう。」

探しに行った三人はそう言って戻ってきた。

「その木が見たい。」

そう言ったのはメグミだった。

姿を消したアイとは幼なじみの親友だった。

残っていた後の二人も付いてきた。

「この木だよ」

タカシは言った。

メグミは木に彫られた二人の名前を指でなぞってみた。

「どこにいるの」


メグミは悲鳴をあげた。

なぞった指に赤い血が着いていた。

木の枝がざわっと騒いだ。

若者たちはバンガローに逃げ帰った。

「あの木に食われちまったのかよ?オカルト映画じゃないぜ!」

タカシは言った。

「もう帰ろう。怖い」

ユイとカオリが泣き顔で訴える。

「でも…アイが」

メグミが言う。

「帰るときはみんな一緒に帰ろう。」

マモルが言う。 

「でもどうしても帰りたかったら止めないよ。外のバス停まで送っていくよ。」

ケンジが言った。

「一晩だけ様子をみて帰ろうか。」

メグミが言った。

ユイとカオリは賛成した。
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