太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
あの日、二人で会おうと約束したあの日、母さんは2年ぶりに外に出たんだ。


母さんは口癖の様にいつも言う。


「奈桜は心の底から大切な友達っている?

二人は、一人よりずっと素敵。

そんな人を探すためだけに、生きてみなさい。

きっと会えるから。

その人が同じこの地球上にいてくれると思う、ただそれだけで、きっとそんな毎日が嬉しくて、とても大切になるから。」


私は17歳の母さんと話したこの一年を、ゆっくりと思い出していた。


そして明日の天気が、『お天気雨だったらいいな』と願いながら、太陽の優しい光が漂う窓の外を見つめた。

母はホワイトチョコをいつもの様にどっさり買ってきて、嬉しそうに食べるのだろうーー。


第三話
     終





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