太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
忠志は何やら台所でお湯を沸かしている。

焦茶色のセーター。

忠志の背中。

いつも少しだけ右肩を上げる。

忠志の癖だ。


小さなワンルームの部屋を、忠志が沸かすヤカンから賑わう様に出てくる灰色の生暖かい湯気が、もの悲しい煙の様に彩り始めた。


「ミナト、あんた今日の三年二組同窓会、どうせ来ないつもりでしょ。

あたしもアイツラの自慢話大会のために毎年呼ばれんのもかったるいけど、ついつい、ね。」


小学校、三年二組。

何故三ー二に固執した様に、こんなに同窓会が開かれるか。

特別な理由がある。

かなり稀な事だろうが、偶然にも三ー二から二人も俳優が出ている。


どちらもまだ駆け出しの役者といった所か。


二人とも個性が違うせいか、ジャンルは違うがたまにテレビで顔を見る。


「今、まさに二人でやり合ってるよ。

仕事のオファーが多いの少ないのって。

心底面倒だべ。」



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