太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
一月五日。

日曜のゆっくりとした角度の朝日が、窓から私を包み、指し込む。

身支度をする私の横で、バアちゃんはタクシーを呼んだ。


「バアちゃん。やっぱり私、別にお母さんの居場所なんて、もういいよ。

こうしてバアちゃんに、元気に会えたんだし。」

そう言う私をバアちゃんは急かして、タクシーに乗せた。


運転手に一枚の紙切れを渡す。

「そこまで、行ってくれな。」


運転手は紙の内容を読むと、分かりました、と短く答えた。


「ここはミナトの家だろ。

またいつだって帰って来い。

オラが死ぬまでは、ずっとずっと、ミナトの帰りを待っててやっから。

ちゃんと野菜食えよ。」

バアちゃんはそう言うと静かに笑って、タクシーのドアを自分で閉めた。
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