太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
無論、障子を隔てた尼僧の顔は見えない。
しかしその尼僧の姿形は、トキが幼い頃、流行り病で熱にうなされた時夢見た、百衣観音にどこか似ていた。
「秋の夜ながは長い。
遠慮はいらぬ。しばし、トキの声を聞かせておくれ。
そなたの小さな蛍のごとき美しい声色は、私には心地いい。」
トキはそう言われ、我が身が固まる程に顔を赤らめた。
しかしその尼僧の姿形は、トキが幼い頃、流行り病で熱にうなされた時夢見た、百衣観音にどこか似ていた。
「秋の夜ながは長い。
遠慮はいらぬ。しばし、トキの声を聞かせておくれ。
そなたの小さな蛍のごとき美しい声色は、私には心地いい。」
トキはそう言われ、我が身が固まる程に顔を赤らめた。