太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
「実を申すれば明朝、わたくしは白無垢に袖を通さなければならないのです。

隣町の庄屋へ、嫁ぐ身なのです。

父一人の決めた縁談でございました。」


トキはそこまで話すと、不意に息を漏らした。

「明日嫁ぐ身のそなたを、何がこれ程に寂しい寺の尼へ、その足を向けさせたのですか?。」


「はい。わたくしは、ーー。

静光尼様に、どうしても御伺いしたき願い事があるのです。」

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