太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
「願い事?。」


「はい。

わたくしの夫になる方には、一度だけ顔を合わせました。

有り難き事に、お優しい方であったのです。

しかしわたくしの幸せとは、そこには決して無いのです。

婚姻する相手がどんな御方であれ、わたくしの女としての幸せは、そこには皆無なのです。」


トキは自分で頬を伝う涙を感じた。


「わたくしには幼い時分から、ずっと心に決めた御方がおります。

父は決して、その方との婚を許してはくれませんでした。」

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