太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
「わたくしは全てを諦めました。


そして先程、わたくしは家をひっそりと抜け出し、寛治様に最後のわたくしの願いを届けたく会いにゆきました。


わたくしは、心から御慕いしていた寛治様に、――。」


トキはそこで何かを諦めた様に涙を止めた。


「女として、一生分の恩情を頂きたいと願いました。

最後にわたくしは、寛治様に――。

後にも先にも、たった一夜で構わない。

それでわたくしは、ずっと末も生きていけるからでございます。」
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