太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
天気予報では、明日も雪のマークがついていた。


太陽はきっと、出ない。

ただ、嬉しかった。


私は穏やかな気持ちで、布団へ潜った。


私の目線の斜め前にある、何の取り柄もない正方形の置き時計は、

カチン、ガチ、カチン、ガチ

と無駄無く、いつも理性的に、ただただ時間を刻んでいる。

その無機質な音が、私を穴の奥底から引きずり出す様に、救ってくれる。


深夜の時計は、私の心臓の音。

どうか、止まらないで。私の何もかもを刻み込んで下さい。



紺色のカーテンの隙間からは、飽きもせず相変わらずヒラヒラと落ちてくる白くて、水っぽい雪の姿が、いくつもいくつも折り重なって、まだ私の視界に映っている。


ヒンヤリと冷たい布団の中は、そのまま私を深い眠りに連れていってくれた。


ただ、意識の遠くなり始めた時、ビカビカした夏の黄色い太陽の下で優しく笑う母の顔が、私の脳裏にとても久しぶりに浮かんだ気がした。


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