太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
それまでその姿を現していた月は、徐々に重い雲に覆われ静寂がしばし流れた。

トキは覚悟を決めた様に、その小さな息使いを激しくさせていく。

障子の向こうの暗灯の火が、ゆらりと揺れた。


「トキ。

そなたの心は、しかと受けとりました。

しかしながら、どうかその小指が切って無くなってしまう前に、そなたの指をわたくしに見せてはくれぬか。」


トキはその言葉に顔を上げた。

音も立てずに動いたその障子には、小さな隙間が開いていた。


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