太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
「トキ。そなたのその心、指を切る代わりにわたくしに預けてはくれないか?。

そなたのこの小さき指を切って、寛治は至福の喜びにひたると思うのか?

そなたと寛治を結ぶこの小指を断つ事は、契りを断つことでは無いか。」


「静光尼様、しかしわたくしは――。」

その時トキはふと、また月の光が瞼に差したのを感じた。

雲が抜け、満月がまたその姿を表す。

「トキ、障子を開けてはくれぬか?。」

トキはその声に胸が騒いだ。

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