太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
胸の高鳴りを押さえ、再びトキは障子をゆっくりと開けた。

ほの暗い灯りの中、漆黒と紫の袈裟が目に映る。

鎮座した静光尼の姿にトキは心を奪われた。

トキが見つめた静光尼の顔は、まるで白い百合の様に美しき輪郭を保ち、薄紅の口元を優しくつむんで、――目を閉じていた。

「静光尼様――?。」

静光尼はその瞳を静かに開いた。


「―――!。」


トキは息を止めた。
心臓の鼓動が大きく音を立てた。

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