太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
二つの月がトキを見ている。

白い月が、並んで二つ。

静光尼の開いた瞳。

眼。

眼が、見えぬ。


ただトキを見据える白濁の二つの瞳は、明らかにこちらを見ていた。


「トキ。わたくしが見えるか?。」


「――静光尼様、わたくしは、何も、何も知らずに――、」

「いいのです。わたくしの眼が見えないのは、わたくしがこの眼を我が手で潰したからです。

――小指を切ってしまおうとしている、そなたの様に。」

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