太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】
「あの御方の死を我が眼に映したあの日から、わたくしは終わりの無い闇夜にいる。
わたくしはその後、こうして仏に遣える身となりました。
しかしずっとその面影だけ、我が身の奥深い所に今も存る。
そしてわたくしはそれを、いつまでも抱いている。
この暗き闇に、まるで月だけがわたくしの中に、始終浮かんでいるようだ。
光をこの手で失ったわたくしには、朝も昼も夜も無い。
日の光さえも浴びる事も無い我が眼。
しかし――。
月。
月だけは何故か、わたくしには感ずる事ができるのです。
気の迷いかもしれぬ。
さりとて、
わたくしの『光』は、月光。
淡く尊き光を保つ月光なのです。」
わたくしはその後、こうして仏に遣える身となりました。
しかしずっとその面影だけ、我が身の奥深い所に今も存る。
そしてわたくしはそれを、いつまでも抱いている。
この暗き闇に、まるで月だけがわたくしの中に、始終浮かんでいるようだ。
光をこの手で失ったわたくしには、朝も昼も夜も無い。
日の光さえも浴びる事も無い我が眼。
しかし――。
月。
月だけは何故か、わたくしには感ずる事ができるのです。
気の迷いかもしれぬ。
さりとて、
わたくしの『光』は、月光。
淡く尊き光を保つ月光なのです。」