太陽の朝は窓を閉じて【オムニバス】

「今宵の月に誓い、必ずや死後もそなた達が二人して沿い遂げられる様、わたくしは契りを交そう。」

トキは静光尼の傍らにそっと近付き、そしてその胸に静かに身を任せた。

静光尼の掌を、その涙で濡れた頬に当てた。

「トキ。泣くのはもうおやめ。

女はこの現世に産まれた時から、一つの真実を探すのです。

それは一生でたったひとつ。

それは、あるいは身を焼く程の苦行かもしれぬ。

しかしその一つさえ心に宿す事ができたならば。


やはり女は、その命を生きるものなのでしょう。」