猫が生まれた日
強がってみようとおもいます

かつては、それがあたしでした

この口でかなしみを閉ざし
この眼でよわさを伏せて
あたしはいつも
微動だにしなかった

かなしみもよわさも
なみだもこぼさないように

強くなければ
あたしではなかった
そんな日々を、またつくってみよう

たくさんの嘘をついて
あたしを塗り固めて
潔い女になってみよう

こぼしてしまったものすら
見て見ぬふりをされるなら
いっそ、そうしようとおもいます

そしていつか、誰かの前で
グラスをひっくりかえす
誰かの部屋を汚して
それでも見て見ぬふりをされるなら
また
繰り返そうとおもいます

あたしはあなたが
最後の一滴までこぼして
グラスまで砕いたあたしを
見てくれたらいいと
見てくれないでと
どっちともいえないようなこころで
いようとおもいます
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